独白

[00:00.000] 作曲 : Hiromu Akita
[00:01.000] 作词 : Hiromu Akita
[00:16.810]私が私を語るほどに 私から遠く離れてしまうのは何故でしょうか?
[00:21.355]身を投げた漆黒の太陽が 遺言のごとく焼き付けたひと夏の影絵は
[00:26.135]トイレの汚物入れの中で真っ赤に滲んで泣きじゃくるばかりです
[00:30.446]殴られた痣はすぐ消えてしまった いっそ消えずに一生残ればよかった
[00:35.069]誰かを憎む理由をこの身体に誇示して 全てを切り裂く免罪符となれ
[00:40.320]物心ついた私は白痴でキチガイで あなたがそう呼ぶからそれにふさわしい人間になった
[00:46.511]「どこにでもいる真面目な子でした」「まさかあの子が」
[00:49.384]世間様の暇つぶしに辱められた自尊が
[00:52.545]良からぬ企みを身ごもるのも必然で 言葉を殺した あれが死に損ないの言葉ゾンビ
[00:58.606]『言葉を殺した』という言葉だけが残った 途方に暮れた十五歳の夏
[01:04.640]流れていった涙や後悔の時間に 今更しがみつくほどの未練は持ち合わせず
[01:10.517]過去の痛みが全て報われたわけじゃない 私の痛みは君の失望にこそ芽吹く
[01:16.917]この物語はフィクションであり、実在する事件、団体、人物との
[01:23.004]いかなる類似も必然の一致だ だが現実の方がよっぽど無慈悲だ
[01:40.245]ひぐらしの声 夕涼み 恋占いはフルスモークのハイエースに連れ去られた
[01:45.313]精霊は事件性にも宿るか 底なし沼の水面にたかる虻達の祈りか 被虐者の呪いか
[01:51.974]愛されなかった分や 報われなかった分や 人それぞれの身体に空いた無数の穴ぼこ
[01:57.904]埋め合わせる為に犠牲になった何かが 差し詰め生涯悔やむことになる、むごたらしい致命傷
[02:03.886]通り魔や殉教者や死にたがりの志願者 結局のところ誰もが未来の加害者
[02:09.789]「まさかあの子が」と口走る前に顧みる 私の過去の痛みはあの子の為にこそ使う
[02:15.824]「言葉にならない」気持ちは言葉にするべきだ 「例えようのない」その状況こそ例えるべきだ
[02:21.806]「言葉もない」という言葉が何を伝えてんのか 君自身の言葉で自身を定義するんだ
[02:28.075]流れていった涙や後悔の時間に 今更しがみつくほどの未練は持ち合わせず
[02:33.953]過去の痛みが全て報われたわけじゃない 私の痛みは君の失望にこそ芽吹く
[02:40.666]この物語はフィクションであり、実在する事件、団体、人物との
[02:46.805]いかなる類似も必然の一致だ だが現実の方がよっぽど無慈悲だ
[02:56.653]音楽や小説 映画とか漫画 テレビ ラジオ インターネット 母が赤ん坊に語る言葉
[03:07.154]友人との会話 傷つけられた言葉 嬉しくて嬉しくてたまらなかった言葉
[03:14.077]喜び 悲しみ 怒りだとか憎しみ かつての絶望が残す死ぬまで消えない染み
[03:19.928]それが綺麗な思い出まで浸食して汚すから 思い出も言葉も消えてしまえばいいと思った
[03:25.832]言葉は積み重なる 人間を形作る 私が私自身を説き伏せてきたように
[03:31.709]一行では無理でも十万行ならどうか
[03:34.870]一日では無理でも十年を経たならどうか
[03:37.926]奪われた言葉が やむにやまれぬ言葉が
[03:40.957]私自身が手を下し息絶えた言葉が
[03:43.778]この先の行く末を決定づけるとするなら
[03:46.495]その言葉を 再び私たちの手の中に
[03:49.629]奪われた言葉が やむにやまれぬ言葉が
[03:52.816]私自身が手を下し息絶えた言葉が
[03:55.611]この先の行く末を決定づけるとするなら
[03:58.276]その言葉を 再び私たちの手の中に
[04:13.584]再び私たちの手の中に
[04:19.984]今再び 私たちの手の中に
[04:31.660]言葉を取り戻せ